効率、効率、時々能率。ほんとにそれって効率的ですか?
効率的に仕事を頑張ろう! という意識自体はとても良いことだと思うんだけれども、今の書店、効率的に、とか、ちょっとの努力で年収1億とか、あざといタイトルの本が書店にはいっぱい並んでる。その分、近所のTSUTAYAで文芸書のコーナーが狭まったりして……文芸好きには悲しい限りです。
ちょっとの努力で全部ゲットなんてたなぼたラッキーは、待ってるだけ時間の無駄だと思う訳です。
何故なら、ちょっとの努力で身についたものなんて、ちょっとしたことで無くしてしまうものだから。無くなろうとしていても、しがみ付きたい程の執着心はそこにはないから。
それから、効率的にっていうビジネス本をみんなが読みたがってて、いろんな種類がある。これだけ出てるってことは、『効率本』はあまり効率的でないという証拠なんじゃないの?
わたしの大好きな本、星の王子様の一節に、こんなことが書いてある。
「ぼく、まっ赤な顔のおじさんがいる星に、行ったことがある。おじさんは一度も花の香りをかいだことがなかった。星を見たこともなかった。誰も愛したことがなかった。たし算以外は、なにもしたことがなかった。一日じゅう、きみみたいにくり返してた。『大事なことで忙しい! 私は有能な人間だから!』そうしてふんぞり返ってた。でもそんなのは人間じゃない。キノコだ!」
- 作者: サン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,内藤濯
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/03/10
- メディア: ハードカバー
- 購入: 19人 クリック: 501回
- この商品を含むブログ (289件) を見る
「まっ赤な顔のおじさん」の人生、じゃなかったキノコ生ってなんてつまらないんだろう。
そして、たぶんこれも王子さまのセリフ。
だれかが、なん百万もの星のどれかに咲いている、たった一輪の花がすきだったら、その人は、そのたくさんの星をながめるだけで、しあわせになれるんだ。
「きのこ」になっちゃうと、ふんぞり返るだけで感動もなにもなくて、とってもつまらない人生だよってサンデグジュベリは言いたいのかもしれない。
効率を追求すると、人生無駄だらけに感じる。無駄なものは何もないの? その著者はスマホのゲームを絶対やってないって言える? それだって無駄じゃないか。
人間は感動するために生まれてきたと思ってるわたしは、「一発でこんなに!」「勉強せずに賢くなろう!」なんていう本は、最初から見ないようにしてる。だって、この世のなにもかもをその人は知らないはずだから。本質を知らない人に、指南されることなんて何もないって思ってしまうからね。
その証拠に、効率的に!時間短縮をしたい!って思いすぎると、ちょっとしんどくならない? 喉の奥底がくるしい気がしないかな? そういう人にこそ、読んでほしい、この一冊。『星の王子さま』
(結局、星の王子さまの話になっちゃったね…)